北朝鮮による拉致被害者の有本恵子さんらの安否について「外務省も生きていないことは分かっている」と発言したジャーナリストの田原総一朗氏（７７）に対し、恵子さんの両親が計１千万円の慰謝料を求めた訴訟の判決が４日、神戸地裁であった。長井浩一裁判長は「発言に合理的な根拠はない」と判断し、計１００万円の支払いを命じた。

　判決後、田原氏は所属事務所を通じて出した談話で恵子さんの両親に改めて謝罪。そのうえで「民主主義社会においてはジャーナリストや報道機関が外交や政治の法的問題について、自由に意見を言えることが不可欠。この点を十分理解していない本判決には納得できない」として控訴する方針を明らかにした。

　判決によると、田原氏は２００９年４月のテレビ朝日の討論番組「朝まで生テレビ！」で、拉致被害者について「外務省も生きていないことは分かっている」と発言。翌月の同じ番組で謝罪したが、恵子さんの両親が０９年７月に提訴した。

　判決は、田原氏が恵子さんらを名指しして断定的に発言しており、外務省が恵子さんらは生きていないと認識しているとの印象を視聴者に与えたと指摘。発言は政治評論家としての「見解・意見の表明」にあたらず、事実として述べられたものだと判断した。

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