消息絶った小型機長　南極観測隊に参加・飛行経験も豊富
　日暮れ時の阿蘇山近くで、２人乗りの小型プロペラ機が消息を絶った。乗っていたのは２０年以上の操縦経験があり、南極観測隊にも加わったことのある医師と妻。友人も連絡がつかないという。近くで大雪注意報が発令されていたなか、小型機に何があったのか。熊本県警などは４日夜明けを待って行方を捜索する。

　２人は山口県周南市の医師、神田（こうだ）博さん（５３）と妻裕美さん（５０）。県警によると夫妻は鹿児島県奄美大島へ家族旅行に行っていたという。

　博さんの友人は何度も神田さんの飛行機に乗せてもらった。この友人は３日夜、博さんの携帯電話にかけたが、留守番電話のまま。「天候のことを１０分おきに調べるような、慎重な人なのですが……」。心配そうに話した。

　「自家用の飛行機乗りとしては、ず抜けたパイロット」。数十年来の飛行機仲間という島根県益田市の会社員、大畑宣幸さん（６４）は評した。計器飛行や多発機操縦など複数の資格を持ち、南極観測などの経験も豊富。北九州空港と島根県の石見空港に自家用機を置き、「国内で行ったことがない場所がない」というほど各地を飛び回っていた、という。

　さらに全国でも数少ない、パイロットの定期検診を担当する「航空身体検査医」で、大手航空会社の現役パイロットたちとも広く交流する「名物医師」だったという。大畑さんは「正月は南の方に行くと聞き、『じゃあ８〜１０日あたり一緒にどこかへ飛ぼうか』と話していた矢先だった。どうか無事でいてほしい」と話した。

　別の知人の医師は約２年前、神田さんの飛行機で長野県松本市まで行った。帰りは積乱雲が発生。すると神田さんは「俺は飛ばない」と言って、飛ばなかった。「判断ミスは考えられない。予期せぬトラブルがあったのかも」



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