東京都目黒区の住宅街で今年１月、無職大原道夫さん（当時８７）を自宅の玄関先で殺害し、妻（８２）にけがをさせたとして強盗殺人などの罪に問われた福島県いわき市の無職木村義昭被告（６６）の裁判員裁判の初公判が７日、東京地裁であった。木村被告は殺意を否認し、弁護側も強盗殺人ではなく強盗致死罪にとどまると主張した。

　木村被告は罪状認否で「本当に申し訳なく思っております」と泣いて謝罪する一方、「殺すつもりで家に入ったことはない。（犯行中も）無我夢中で殺意はなかった」と述べた。

　検察側の冒頭陳述によると、木村被告は１９９７年に日本の家族とは別に韓国在住の女性と結婚式を挙げて２人の子をもうけ、生活費を送るようになった。しかし、営んでいた廃棄物処理業の売り上げが犯行直前の半年間は約５０万円に減り、送金が難しくなったという。検察側は、金に困った木村被告が「裕福な人が多い」と考えて目黒区での強盗を決意したと説明。「腹や胸を力強く何度も刺しており、殺意はあった」と強調した。

　一方、弁護側は冒頭陳述で、木村被告は、ナイフを見せれば大原さんがおとなしく従うと思っていたが、「お前は誰だ」と首を絞められ、頭が真っ白になったと指摘。「とっさに刺してしまった」と主張した。

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