病院から出火　１人死亡、１３人重軽傷　徳島・鳴門
　９日午後１１時半ごろ、徳島県鳴門市撫養（むや）町立岩（たていわ）の「岩朝（いわさ）病院」（鉄筋３階建て、４６床）の２階病室付近から出火した。約１時間半後に消し止められたが、入院していた福島喜夫さん（７８）が全身にやけどを負い、１０日午前に亡くなった。さらに、女性患者（９５）が顔へのやけどで重傷、６５〜９７歳の患者１２人が煙を吸うなどして軽傷を負った。

　県警によると、火元とみられる２階の病室は２人用で、福島さんと別の男性患者（６５）が入院。この男性患者は負傷していないとみられ、県警に対してライターを触っていたら火がついたとする趣旨の説明をしているという。県警と鳴門市消防本部は１０日午前からこの病室を中心に実況見分し、出火原因を調べている。

　岩朝病院には内科、外科、リハビリテーション科など９科ある。岩朝勝院長（６８）によると、入院患者の約７割は寝たきりの状態だった。

　同消防本部などによると、出火当時は２階と３階に入院患者３８人がおり、医師１人と看護師２人が宿直していた。煙が充満し、医師らだけで患者全員を外へ避難させることができず、駆けつけた消防隊員が自力で歩けない患者を抱きかかえながら救出したという。福島さんや重傷者ら３人は救急車で、残りの１１人は鳴門市のマイクロバスで鳴門、徳島、小松島の各市の別の病院に搬送された。

　出火当時、３階で仮眠中だったという男性医師（６７）は「２階に下りて行こうとしたが、煙で前が見えず、廊下に出られなかった。窓を開け、顔を出して呼吸を整えながら消防が来るのを待った」と話した。

　現場はＪＲ鳴門駅から南東約１キロの住宅街。病院近くに住む女性は「外に出ると病院の２階から煙が出ていた。担架で運ばれている人もいて驚いた」と話した。


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