「とりあえず稽古するしか」　春場所中止、戸惑う力士
　大相撲の力士らによる八百長問題で、春場所の中止が正式に決まってから一夜明けた７日、東京都内や周辺にある相撲部屋の多くでは、通常通り朝稽古があった。ただ、６５年ぶりの本場所の中止という異常事態に、指導にあたる親方、体を動かす力士、ともに戸惑いを隠せない。

　興行が通常通りであれば、初日を１カ月あまり後に控えたこの時期は、力士らは激しいぶつかり稽古などを繰り返し、場所中の１５日間を乗り切るための体を作る。

　大相撲で指折りの稽古の厳しさで知られる東京都荒川区の藤島部屋では、藤島親方（３８）＝元大関武双山＝が、力士らに春場所が中止になった経緯を説明。「場所がなくても稽古をするのが力士の基本。普段の行動から恥ずかしくない立ち居振る舞いをするように」と指示した。後援者にも電話をしたり、直接会ったりするなどして、今回の問題について謝罪を続けているという。

　健康診断のため、東京・国技館に姿を見せた関脇稀勢の里関（２４）は、しかめ面のまま、「残念ですね」。八百長問題で名前の挙がった十両の２人も診断を受けた。旭南海関（３３）は「普通に稽古をしています」、若天狼関（３３）は「僕は否認しています」。２人ともくたびれた表情で帰っていった。幕内のベテラン旭天鵬関（３６）は「みんな初めての経験。どう対応していいか分からない。とりあえず稽古するしかないのかな」と不安を隠せない。

　力士会長で土俵の頂点に立つ横綱白鵬関（２５）は前日に続き、姿を見せなかった。所属する宮城野部屋の玄関には、一般の稽古見学を断るとする紙が貼られた。宮城野親方（５３）＝元幕内竹葉山＝は「体調不良で稽古に来ていません」と説明した。



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